電力の同時同量とは?
電力問題を議論する際、
「電気は貯蔵できないので、生産量と消費量が常に同じであることが必要」と言われます。
私がこれを初めて聞いた際、とても不思議に思えました。
常に同じであるのであれば、
私が照明を消すことによって管轄の電力会社が火力発電のタービンは少し抑えて発電する必要があるのでは?と思ったからです。
電力会社の人達がそこまで個人の行動に目を光らせているように見えませんし、もちろん実際はそんなことしていませんし、
今回はこの謎に対して、ざっくりした理解を深めるために周波数に着目して説明します。
電力の周波数が変動する
周波数は1秒間に繰り返す波の数のことです。
以下の図は発電機の原理ですが、磁石をくるくる回すと電流が流れます。早く回すと、周波数は高くなります。

いよいよ本題です。
例えば、電力会社が発電した電力よりも需要家が消費した電力が少ないとどうなるでしょうか。
答えとして、
発電した電力より、使用した電力が小さいと、余った電力エネルギーは運動エネルギーになります。
つまり、発電機がより早く回ります(=電気の周波数が高くなります) 。
逆に、発電した電力より、使用した電力が大きいと、足りない電力エネルギーは運動エネルギーから補填されます。
つまり、発電機の回転が遅くなります(=電気の周波数が低くなります)
私が照明を消すことによって管轄の電力会社の火力発電のタービンの回転数が少し早くなる
私が照明をつけることによって管轄の電力会社の火力発電のタービンの回転数が少し遅くなる
ということです。

もう少し直感的な理解として、自転車をこいでる時にダイナモのライトをつけるのと似ています。
私がダイナモライトをつけることによって同じ力で漕いでいる際は自転車の車輪の回転数が少し遅くなる

ちなみに、電力会社は周波数を一定に保つためにかなり電力の需給に気を配っています。
周波数が数パーセント変化すると例えば工場の生産ラインは機能しなくなるくらいダメージを受けます。
停電が起こる理由も、実はこの周波数を維持するためだったりするので、興味がある人はぜひ他の文献等で調べてみてください。
以上です。