はじめに
ネットで以下のような問いを見つけました。
2系統の電源をもつサーバは通常運転時のときは、片方の電源だけに電流が流れて運転していて1系統目の入力電源が落ちたとき、全負荷が2系統目の入力電源に移行するものなのでしょうか?
この問い、素朴な疑問としてありますよね。
結論から言えば、どちらのケーブルからどれくらいの電流が流れているのかはその場その場で違います。
サーバへの電源冗長化
以下の図はデータセンターで見かける構成として複数の分電盤からサーバへ給電する構図です。
異なる分電盤が異なる電力会社と接続することにより、電力供給が単一障害点にならないようになっています。
( https://www.apc.com/jp/s/products/isx/APC_WP_No48_J_Final.pdf より図を抜粋 )
一方で、このサーバやストレージがどちらからどの程度給電されているのかというのは、電気回路として見た物理法則に従います。
電源の供給元と特定するのは難しい
以下の図を見れば複数の水源がある場合に取水場所で得られる水がどこの水源からどの程度流入しているかを特定することが難しいことが分かると思います。
それと同じことが複数電源と単一負荷でも起こりえて、例えば2系統の電源を持つサーバを以下の回路でシミュレーションしました。
200Vの電源が2系統で接続されている状態でサーバに給電させ、抵抗にてケーブルやその他の欠損を表しています。
上記がシミュレーターのサーバには200Vから少し電圧降下した電圧がかかります。
流れている電流ですが10Ωが接続されている電源から1.132A、15Ωが接続されている電源から0.754Aで、計1.887Aがサーバに流れ込んでり、この電流比は抵抗の値によって変動し、その抵抗値も時間とともに変動します。
ちなみに分電盤からの距離、電源ケーブルの長さ、ケーブルの周りの環境(気温等)などが抵抗値の変動要因として挙げられます。
次に、電源の片系障害を再現するとどうなるでしょうか。
サーバに流れる電流や電圧は落ちるものの物理法則に従って流れ続けます。
今回は電源に対する内部抵抗を大きめにしていますが、実際は特に電圧に変動がなくサーバに給電されます。
終わりに
発電の供給元と消費先は物理現象として自動的に決まってしまうため、特別な制御をかけないと明確にどちらか一方のケーブルから電力を供給させることはできません。
一方で少し話はずれますが、「電力カラーリング」というテーマで、一般社会において再生エネルギーだけを消費したいというニーズを拾う仕組みもありますので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
以上、ご参考になれば幸いです。