はじめに
物理サーバを分割して利用する、つまり複数のホスト名を持つサーバを同一筐体に起動させる仮想化技術に「物理分割」と「論理分割」があります。それぞれ英語ではPhysical PARtitioningとLogical PARtitioningと呼ばれるため、略語がPPARとLPARです。
これらは物理サーバのハードウェア特性を活かしたまま仮想化による複数サーバの立ち上げが行えるため、本番環境と開発環境を区分けした状態で同居させるといった資源の有効活用が行えます。
本記事では、そんなパーティションニング方法に関してPPARとLPARの違いについて分かりやすく説明します。
PPARとは?
物理分割はハードウェアパーティションとも呼ばれ、あらかじめ筐体の中が分割されていてブロック単位になっています。
そして、特定のサーバを動かす際にそのブロックの割り当て指定することでリソースの割り当てを行います。
このようなブロック構成をビルディングブロック構成と呼び、分割ではなく増強においてメリットを語られることが多いです。というのも、この構成においてはリソースを増強する際には新しい筐体を接続して構成区画を割り当てることで一塊のサーバとして扱うことができるからです。
この分割法のメリットは、その区画での障害が接続していない他のブロックに影響を与えない点にあります。
これはハードウェア部分を共有していないことに由来していて機種によっては電源供給部分ですら分割することも可能です。要は、実態としては別筐体が組み合わさっているような形です。
デメリットとしてはビルディングブロック構成ということで、単位の中にはCPUやメモリが含まれているので「メモリだけ増やしたい」と言った場合でもCPUが割り当てられます。つまり、リソースの柔軟な割り当てができません。
LPARとは?
LPARに関しては以下の記事にて触れていますが
サーバ上の仮想マシンに対してリソースの柔軟な割り当てが可能で、これがPPARに対する大きなメリットとなります。
また上のような占有という形ではなく、共有リソースとしてLPAR同士で分け合う形でリソース割り当ても可能です。
PPARと比較しても大きなデメリットはありませんが、物理パーツと仮想マシンの関係性がPPARと比べると明示的ではないので例えば各LPAR毎に電源を割り当てることは想定されていません。
もちろんサーバ筐体には二系統の電源が接続できるので電源障害が単一障害点にはならない設計にすることも可能ですが。
終わりに
まとめるとPPARはブロック単位のリソース割り当て、LPARはより柔軟なリソース割り当てというのが大きな違いです。
近年は仮想化ソフトウェアを用いてハードウェア部分を隠蔽して利用する仮想化技術もありますが、大規模サーバやメインフレームではよく利用される手法なので覚えておくとどこかで役立つと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。