はじめに
ファイルサーバとNASは、どちらもファイルを共用する際に利用します。
よって、違いやメリットデメリットで比較されることが多いですが、
アーキテクチャとして何が違うのか?
については自明だからか触れていないものがあります。
ファイルサーバのメリットは拡張性や制御が柔軟に行える、NASのメリットはWindows等のライセンスが不要などなど言われますが技術的な肝の違いをおさえれば理解が深まります。
本記事では、違いは分かったけどその違いを生み出す本質は何なのか?という疑問を持たれた方向けに簡単に解説します。
ファイルサーバとNASの違い
結論から書きますが、ファイルシステムを管理する場所が違います。サーバ側で管理しているのかストレージ側で管理しているのか、ここの違いです。
以下に図示してみました。
そもそもファイルを共用するためにはストレージ装置のどこの領域にどのファイルがあるのかを管理する必要があります。
そのファイルアクセスの管理を、OSが入ったサーバ側で行うのがファイルサーバで、ストレージ側に本機能を実装しているのがNASです。要は、NASにおいてはサーバ側がNFSクライアントであり、ストレージ側がNFSサーバという立ち位置です。
そう考えればそれぞれのメリットがしっくりきます。
ファイルサーバのメリット
ユーザ管理を柔軟に行える
OSとしてWindows Serverを入れてデフォルトのファイル共有機能を利用したり、OSとしてUNIX系OSを入れてSambaなどのソフトウェアを追加してファイルアクセス機能を提供します。
よってOSとして当たり前に存在するユーザ管理機能をそのまま利用できます。
ストレージ管理を柔軟に行える
ファイルアクセス機能を提供するサーバとディスク領域としてのストレージが別なので、ストレージの追加を行えばファイルを共用できる領域も拡張できます。ファイルサーバとストレージをSANネットワークで構成すれば、エンタープライズの利用にも耐えうるより柔軟な管理が行えます。
NASのメリット
コストが安い
サーバー用のシステム費用やWindowsのライセンス費用などが不要です。既存環境に接続するだけで利用できるので導入コストも低いです。
多機能
OS選定やソフトウェア選定から始まるファイルサーバとは異なり、NASはベンダーが専用OSと専用サービスをパッケージとして用意しているので、ストレージ仮想化やバックアップ機能といったものが標準で提供されていたりします。
終わりに
ファイルサーバとNASの根本的な違いは、ファイルとディスクの領域を管理するテーブルをどこが持っているか、にあります。
そういう目線で他の記事を読むと腹に落ちて理解できるので、覚えておくとどこかで役立つと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。