はじめに
SAN Volume Controller、略してSVCはストレージ仮想化のためのIBM社の機器です。
本記事では、SVCの役割について簡単に解説します。
ストレージの仮想化とは?
SVCが存在しない環境を説明します。
例えば、上記の構成はエンタープライズ向けでよく見られます。
こちらの構成ではサーバーとストレージを直接接続する代わりにSANスイッチをかませています。
これにより、サーバ⇆ストレージを直接接続せずとも通信が行えます。
一方、何も手当をしなければストレージは仮想化できません。物理的なストレージと物理的なサーバの対応は1:1となります。SANスイッチは、通信経路を共有するだけです。
そこでストレージを仮想化することで、一つのディスクを分割して複数サーバで利用したり、複数のディスクを結合して一つのファイルシステムに割り当てることを可能にします。
ポイントは、ストレージの仮想化はOSの機能やストレージの機能でも実現ができる点です。
つまり、新たな制御装置であるSVCを利用せずともストレージの仮想化は可能です。
ただし、サーバやストレージで行うと、単一サーバ内でしか仮想化が実現できなかったりストレージの種類が混在する場合に対応できなかったりと制約があります。
そこで、専用の機器であるSVCを利用することで統合的にストレージ仮想化を行います。
物理的な接続
上の図で言うところの、SANスイッチに対してSVCは接続されます。一般的にはファイバーケーブルです。
ストレージ側のFCポートがSVCのFCポートと対応し、サーバ側のFCポートがSVCのFCポートと対応させます。
これにより、サーバ群は物理的なストレージではなく、SVCが仮想的に見せるストレージをストレージとして認識します。
また、SVCの管理にはブラウザやSSHを使用するので、管理用としてLANに接続も行います。
ストレージ仮想化の流れ
まずは、ディスク装置にてサーバに領域として見せるためのLUN(Logical Unit Number)を作成し、SVCにマッピングします。
次にマッピングされたLUNをMDisk(Managed Disk)として認識します。一般的に、このMDiskはディスク装置の種類が異なれば別のMDiskとして扱います。
最後に、仮想ディスクとしてVDisk(Virtual Disk)を作成します。このVDiskがサーバから見えるディスクとなります。
このVDiskとサーバ(のHBA)をマッピングすることでサーバはディスクとして認識できます。
全体像としては以下の図が分かりやすいです。物理的なLUNをMDiskとしてまとめ、VDiskとして切り出すイメージです。
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0907/03/news101_2.html より画像を抜粋
また、このようにVDiskとして切り出した仮装ストレージはFlashCopyといったローカルでのコピー機能やリモートへの転送機能で扱いやすいのも魅力の一つです。
終わりに
ストレージの仮想化をSVCを用いて利用するイメージについて簡単に解説しました。
ボリュームグループや論理ボリュームといった、サーバによる仮想化と考え方が似ているので同じストレージの仮想化という観点で覚えておくとどこかで役立つかと思います。
以上、SVCの入門記事でした。