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【科学】焼酎はなぜ九州地方の名産なのか?

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はじめに

日本の焼酎生産高を見ると、上位は宮崎県に鹿児島県に大分県と九州南部で造られていることが分かります。

日本酒にはない偏りが焼酎ではある理由を、科学的な観点で分かりやすく説明しました。

日本酒を作るために

以下の記事にて日本酒の製法を解説しましたが

具体的に日本酒の醸造が行われるシーズンは「冬」です。なぜ夏ではなく冬なのでしょうか?

理由は乳酸菌の動きを止めるためです。

というのも日本酒を作るには酵母(清酒酵母)を活発化させる必要がありますが、同時に乳酸菌が活発になってしまうとアルコール発酵が進まなくなります。清酒酵母の生育環境は10℃~30℃で乳酸菌の生育環境は20℃~30℃、よって冷凍庫が無かった時代に10℃~15℃の環境を用意できるのは「冬」というわけです。

九州南部では日本酒が作れなかった

ところが九州南部や沖縄は冬でも相対的には温暖なため、乳酸菌の動きを抑えることができません

そんなことから、日本酒ではなく「黒麹」や「白麹」を用いた焼酎造りが発展します。これが九州と言えば焼酎という流れにつながるわけです。

次の疑問として、なぜ黒麹や白麹では乳酸菌の動きを抑えることができるのでしょうか?

これは黒麹菌は糖分を分解してクエン酸(\rm{C_{6}H_{8}O_{7}})を生成する点が肝です。

以下はその化学式です。
\rm{2C_{6}H_{12}O_{6}+3O_{2}→2C_{6}H_{8}O_{7}+4H_{2}O}

クエン酸は乳酸よりもpHが低いため、乳酸菌は活動できなくなります。そして麹菌は酸に対する耐性があるため酵母を入れてアルコール発酵を進めることができます。

要は、日本酒造りでは「温度」で乳酸菌を排除し、焼酎造りでは「pH」で乳酸菌を排除しているというわけです。

終わりに

もちろん九州と焼酎の関係には歴史的観点もあるかとは思いますが、焼酎造りにてあたたかい地方が活発な科学的観点の理由は『あたたかい場所では日本酒が作れなかったから』です。

ちなみに上記で説明したように、焼酎造りではクエン酸が出てくるため蒸留してアルコール部分を取り出す必要があります。
これは焼酎が醸造酒ではなく蒸留酒である理由です。

以上、お酒に関する雑学でした。