はじめに
タイトルの件、雑誌ニュートンにて簡潔に整理されており大変興味深く拝見しました。
ポイントは、それらを引き起こす菌が違います。
歯科の二大疾患である二つの事象について、本記事では周辺知識を足しながら分かりやすく説明しました。
代表的な菌の違い
ミュータンス菌 | Pg菌 |
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虫歯の原因 | 歯周病の原因 |
ミュータンス菌
Streptococcus mutansとも呼ばれるミュータンス菌、要は虫歯菌です。
このミュータンス菌は糖分を分解して歯垢の元を作り、歯垢を温床に酸を作ります。
この酸によって、歯質が脱灰される現象が虫歯です。
この脱灰という用語、馴染みがないですが(だっかい)と読み、生物の硬組織からカルシウム塩の結晶が溶出する現象を指す学術用語です。虫歯の場合は硬組織がエナメル質に対応し、カルシウム塩がリン酸カルシウムに該当します。
ちなみにリン酸カルシウムの化学式は以下となります。
興味深いのは生後間もない赤ちゃんの口中には虫歯菌がいません。虫歯菌は身近な人と食べ物を共有することによる唾液から感染します。
虫歯ができるには「口中に虫歯菌がいる」「 虫歯菌の栄養源である糖類がある」の二つが肝ですが、前者は諦めて後者をしっかり歯磨きで排除するのがよさそうですね。
Pg菌
歯周病をひき起こす細菌はPorphyromonas gingivalisの略でPg菌です。歯周病原性細菌とも呼ばれています。
そんな歯周病ですが、歯肉に限定した病気を歯肉炎と呼び、他の組織に及ぶ場合は歯周炎と二つのフェーズにも分けられるようです。
このPg菌ですが、虫歯菌と同じように歯垢の中で増殖を行いますが虫歯菌との違いとして「酸素が苦手」という性質があります。
よってPg菌は歯と歯肉の奥底に移動します。これを免疫細胞が死滅させるべく戦うため、歯肉が炎症するのが歯肉炎。これが進んで歯肉が破壊され、とんどん浸食されると歯を支える骨まで溶けていってしまい歯周病となります。
歯周病は、虫歯と違って痛みがないことから海外では「沈黙の病」と呼ばれるようです。恐ろしい...
ただに兆候はあり「朝起きると口の中がネバネバする」または「歯を磨いただけで血が出る」等があるようなので気になる人は病院でチェックしてもらうのがよさそうです。
終わりに
タイトルの件ですが、そもそも菌が違います。ただし菌の名前は無難に虫歯菌と歯周病菌で伝わるような気がします。
また、菌の性質も異なっており 酸素が好きか嫌いか 痛みがあるか否か などなど。
この手の記事を読むと、歯磨きにも力が入ってしまいますよね。
この熱い気持ちは忘れず、歯を大事に過ごしていきたい今日この頃です。