(O+P)ut

アウトプット



(O+P)ut

エンジニアのアウトプット

【クイズ】コーヒーとミルクの問題を数式で理解する

スポンサーリンク

はじめに

コーヒーとミルクという論理クイズがあり、直観に反する事象のため、説明を聞いても腹落ちしない時があります。
なので、有無を言わせず納得すべく数式にしてみました。

また、追加として使うスプーンを途中で変更するケースについても補足として考察しました。

ちなみに、濃度の計算式さえ知っていれば定式化できるレベルなので中学数学の問題としても使えると思いました。

問題と解答

2つのカップA,Bがある。
Aにはミルクが、Bにはコーヒーが入っている。
いま、AのミルクをスプーンですくってBに移し、Bをよくかきまぜる。
その後、さきほどと同じ量だけBの液体をスプーンですくってAに移す。

このとき、Aの中にあるコーヒーの量は、Bの中にあるミルクの量より多いだろうか?

という頭の体操です。で、答えは同じ量です。

要は、ブラックのコーヒーにミルク入れからスプーン一杯のミルクを入れ、そのコーヒーをスプーン一杯に取り出すとそのスプーンに入っているコーヒーの量とコーヒーカップに残ったミルクの量が同じという不思議な話です。


スポンサーリンク

数式で理解する

問題の性質上、ミルクしか入っていないAに入ってくるコーヒーの量だけが知りたいので、もともとミルクが何グラムかは情報として全く必要がない点がポイントです。

ただ、そうは言っても必要がないことを理解するために変数で表現しておきます。

もともとAに入っているミルクの量をm_{A}とし、もともとBに入っているブラックコーヒーの量をc_{B}、スプーン一杯で移動させる量をx_sとします。

AのミルクをスプーンですくってBに移し、Bをよくかきまぜる

これを実行するとAのミルクの量はm_{A}-x_sとなります。

そして、Bはミルクとコーヒーの混合物になります。ミルクの量はx_sグラムでコーヒーの量はc_{B}グラム。ミルクの濃度は\cfrac{x_s}{s+c_{B}}%、コーヒーの濃度は\cfrac{c_{B}}{x_s+c_{B}}%です。

例えば、x_sを10gでc_{B}を90gとすれば、ミルクの濃度は10%でコーヒーの濃度は90%。そこから10gを取り出した時、10gの10%である1gがミルクで、90%である9gがコーヒーです。

さきほどと同じ量だけBの液体をスプーンですくってAに移す

Bからx_sグラムだけAに移します。
まずはスプーンの中にミルクとコーヒーがそれぞれ何グラム入っているか考えます。

上で算出した濃度の式を使えば簡単で
スプーンの中のミルクの量はx_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}
スプーンの中のコーヒーの量はx_s\cfrac{c_{B}}{x_s+c_{B}}

よって
容器Aのミルクの量はm_{A}-x_s+x_
s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}
容器Aのコーヒーの量はx_s\cfrac{c_{B}}{x_s+c_{B}}

容器Bのミルクの量はx_s-x_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}
容器Bのコーヒーの量はc_{B}-x_s\cfrac{c_{B}}{x_s+c_{B}}
となります。

で、今回は容器Aのコーヒーの量と容器Bのミルクの量が聞かれています。

容器Aのコーヒーの量は\cfrac{x_{s}c_{B}}{x_s+c_{B}}でそのままなので容器Bのミルクの量が本当にこの値になるか確かめます。

x_s-x_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}

\cfrac{x_s(x_s+c_{B})}{x_s+c_{B}}-x_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}
と変換ができ
\cfrac{x_{s}c_{B}}{x_s+c_{B}}
になります。

確かに一致します。


スポンサーリンク


補足

今回の問題において、ミルクを入れたスプーンと混ぜた後に取り出すスプーンの大きさは同じである必要はあるんでしょうか?

取り出す際のスプーンの容量をy_{s}とすると
スプーンの中のミルクの量はy_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}
スプーンの中のコーヒーの量はy_s\cfrac{c_{B}}{x_s+c_{B}}

よって
容器Aのコーヒーの量はy_s\cfrac{c_{B}}{x_s+c_{B}}

となり、容器Bのミルクの量はx_s-y_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}でこれを計算すると
\cfrac{x_s(x_s+c_{B})}{x_s+c_{B}}-y_s\cfrac{x_s}{x_s+c_{B}}
と変換ができ
\cfrac{x^2_{s}+x_{s}c_{B}-y_{s}x_{s}}{x_s+c_{B}}
になります。

ここで、確かにx_{s}=y_{s}が成り立てば上記式は一項目と三項目が相殺されてそれぞれの量が一致します。

つまり、ミルクを入れたスプーンと混ぜた後に取り出すスプーンの大きさは同じである必要があることが分かります。

終わりに

10gのミルクと90gのコーヒーを混ぜて、10g回収するとその10gにはミルクが1gとコーヒーが9gです。
よって残った9gのミルクと回収したコーヒー9gがイコールになるという簡単な話ですが、なかなか直観として理解できない本問題、数式にしてみました。

以上、ご参考になれば幸いです。