はじめに
相対性理論の学習は「どの慣性系から見ても光の速さは変わらない」という光速度不変の原理がスタートになります。
が、そもそもこの直感に反する原理は「実験結果がそう示している」という説明で終わることがあるので、本記事ではそれをもう少し納得いく形に調べた結果をメモとして残しておきます。
違和感を持つ理由
光速度不変を説明する際、「光は約30万km/sで進むがあなたが同じ方向に約10万km/sで走りながら光を観測しても30万kmのように見える」と言われます。そしてこれに違和感を感じます。
なぜ違和感を感じるかというと、実体験として「秒速1.5mで歩いている人を秒速0.5mで歩くと秒速1.0mで歩いているように見える」から。
しかし、そもそも「速さは足し算引き算ができる」という前提が実は誤りでした。
どういう時に速度は足し引きできるのか
一定速度で歩く人Aと一定速度で歩く人Bがいたとして、Bから見たAの速度は直感的にはです。
が、これをあえて距離と時間に直してみます。
Aが歩いた距離が、Bが歩いた距離が、そして経過した時間がとすると
がBから見たAの速度となります。
ここで一つの疑問として、AとBの距離は別の変数としましたが、そもそも経過した時間はAとBで等しいことは自明なのでしょうか?
というのも「光の長さは不変である」という前提よりも納得しやすい前提に「早く動く物体では時間が遅れる」という事実があります。
例えば「GPS衛星の中の時計は、地上の時計と比べて時間の進み方が異なる。具体的にはGPS衛生の中にある時刻は1日で約38マイクロ秒ずれる」という現実世界でも利用されている事実があります。(早く動く物体は時間の進みが遅くなる)
この前提をベースにすると、そもそもAとBで経過した時間は正確には異なっているため単純な速度の引き算ができないことが分かります。
要は、先程の式にてそれぞれが歩いた時間を分けて記載すると
がBから見た速度となります。
つまり、速度を足し引きするためには「時間が一致すること(移動物体が遅いこと)」が大前提にあったというわけです。
逆に、速度が光に近づけば近づくほどそもそも時刻の差の影響が大きくなることで「速度の足し引きはできない」ため、「光は約30万km/sで進むがあなたが同じ方向に約10万km/sで走りながら光を観測すると20万kmのように見えるはず」という常識が通用しないということに納得できるはずです。
終わりに
「光の速さが不変」という納得しづらい事象を納得するために、そもそも「速度を足し算引き算できると思っていることが誤りである」なぜなら「衛星を見れば分かる通り動いている物体同士で時間は異なるから」という部分を納得するのは個人的にはおすすめです。
結局、「早く動くと時間が遅れる」という直感に反する事象は受け入れる必要はありますが、少なくとも「光と同じ速さで光を見ても光は約30万km」というワケのわからない原理よりは納得感があるのではないでしょうか。
以上、相対性理論の学習のとっかかりが気になった人の参考になれば幸いです。