はじめに
V7000では基本筐体と拡張筐体はSASケーブルで結線を行い、その際にSASチェーンといった用語が登場します。
本記事ではそれらのポイントについて簡単に整理しました。
公式ドキュメントを読んでもイマイチ分からなかった方は本記事を読んだ上で再度ドキュメントを読むと理解の一助になるかと思います。
SASポートを介した接続
V7000においては基本筐体はコントローラと呼ばれ、いわゆるストレージ管理機能が提供されています。
以下がV7000コントローラの背面図で、中央部に上下反転の2台のキャニスターが見えます。これがRAIDコントローラ部分で、それぞれにSASポートが2ポートずつ、一台のコントローラに計4ポート存在します。
(Overview of the IBM Storwize V7000 systemより画像を抜粋)
少し見えづらいですが、上側のキャニスターには左側ポートに「1」、右側ポートに「2」と番号が振られています。
逆に下側はひっくり返した構造故に右側が「1」で左側が「2」になっています。
同じように拡張筐体にもSASポートが計4つ存在し、左側と右側で「1」「2」が一つずつあります。
(Storwise Family Techinal Update資料より画像を抜粋)
ポート1とポート2の意味
拡張筐体編
まずは拡張筐体ですがポート1は入力ポートでポート2は出力ポートです。
よってどの拡張筐体もポート1はSASケーブルがささっている状態となります。
ただし、そのケーブルの対向は基本筐体の可能性もあれば拡張筐体の可能性もあります。
逆にポート2は出力用なので次の拡張筐体のポート1にささっています。
よって拡張筐体のポート2の対向は拡張筐体です。
基本筐体編
では、基本筐体のポート1とポート2も同じように入力と出力なのでしょうか?
結論としては、どちらも出力用です。基本筐体なので拡張筐体の入力用ポートと繋げるることを考えれば覚えやすいです。
SASチェーン
ここでややこしいのはSASチェーンです。
実は拡張筐体が1つの場合は二つのキャニスターのポート2は使用しません。
以下の図が基本筐体1台に対して拡張筐体6台を結線した図になります。
(Storwise Family Techinal Update資料より画像を抜粋)
基本筐体とその一つ下にラックマウントされた拡張筐体だけを見ると分かりやすいのですが、黄色い線で接続されているのみです。
つまり
基本筐体のキャニスター1のポート1 | ⇔ | 拡張筐体①のキャニスター1のポート1 |
---|---|---|
基本筐体のキャニスター2のポート1 | ⇔ | 拡張筐体①のキャニスター2のポート1 |
が結線されています。
そして2つ目の拡張筐体を利用する際に初めて基本筐体のポート2を利用します。
その際は
基本筐体のキャニスター1のポート2 | ⇔ | 拡張筐体②のキャニスター1のポート1 |
---|---|---|
基本筐体のキャニスター2のポート2 | ⇔ | 拡張筐体②のキャニスター2のポート1 |
あとは拡張筐体間の結線です。
3つ目の拡張筐体は
拡張筐体①のキャニスター1のポート2 | ⇔ | 拡張筐体③のキャニスター1のポート1 |
---|---|---|
拡張筐体①のキャニスター2のポート2 | ⇔ | 拡張筐体③のキャニスター2のポート1 |
4つ目の拡張筐体は
拡張筐体②のキャニスター1のポート2 | ⇔ | 拡張筐体⓸のキャニスター1のポート1 |
---|---|---|
拡張筐体②のキャニスター2のポート2 | ⇔ | 拡張筐体⓸のキャニスター2のポート1 |
とで接続します。
このように基本筐体のポート1から連なる接続をSASチェーン1、ポート2から連なる接続をSASチェーン2と呼びます。
(Storwise Family Techinal Update資料より画像を抜粋)
一般的には奇数偶数で連ねていくのでラックマウント順序も上の画像のように順々に配置します。
終わりに
英語ドキュメントでは拡張筐体のポート1を SASExpansionPort(IN)、 ポート2を SASExpansionPort(OUT)、 と記載されている場合があります。本記事が最新版の公式ドキュメントを読む際の理解の一助になれば幸いです。