はじめに
ビールにも賞味期限があり、私なんかもふるさと納税の返礼品でもらった「金麦」を飲みきれずに賞味期限を切らしたことがあります。
実際、ビールの美味しさには鮮度という観点があるからか「製造後数日以内で工場から出荷したビール」が売り出されています。
本記事ではビールの劣化について「日光」と「温度変化」に着目して簡単に説明します。
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ビールを劣化させる大敵:光
ビールの原料は大麦とホップです。
このホップにより、ビール独特の苦味が生まれますが、そのポップにはフムロンやイソフムロンという化学物質が含まれます。
フムロン :
この化学物質ですが、太陽光に触れると「日光臭」というニラに似た臭いを発生する3-メチル-2-ブテン-1-チオールという物質に変化します。
化学式にSがあるのは、フムロンの変化の過程でビールに含まれる硫化水素から取り込まれるようです。
3-メチル-2-ブテン-1-チオール :
ビール瓶の色を見ると茶色や黒色に着色されているのは、オロナミンCと同じで、光による変質を防ぐ役割を兼ねているんですね。
ビールを劣化させる大敵:温度変化
ビールの原料である大麦は、自身が持つ酵素によってデンプンを麦芽糖に変化させます。
麦芽由来の化学物質であるリノール酸は、酸化することによってトランス-2-ノネナールになります。
ちなみに、リノール酸とは人間の体内では合成されないため必須脂肪酸の一つです。
リノール酸 :
リノール酸が変化した結果である2-ノネナールは「紙臭」と呼ばれる臭いを放ちます。厚紙のような臭いからこう呼ばれるようですが、私はあまりピンときません。
この香りの変化は経年劣化だけでなく35度以上の外気温に一定時間ビールを晒すことで加速してしまう点にあることから、温度変化もビールの風味を損なうことが分かります。
2-ノネナール :
終わりに
ビールの劣化の原因は「光」と「熱」にあります。
よって保管場所に「冷暗所」が推奨されるわけですね。
与太話ですが、ビール会社の中にはビール工場見学というイベントを定期的に開催していて、そこでは出来立てのビールが振る舞われたりします。「光」と「熱」による劣化を極力うけないベストな状態のビールを飲むことができるので、興味がある方は調べてみてください。
以上、ビールの劣化に関する化学物質の紹介でした。