はじめに
Hyper Converged Infrastructure (以下, HCI) の中で高いシェアを誇るNutanix、
読み方はニュータニックスです。
そんなNutanixについてできるだけ分かりやすく理解するための記事を書いてみました。
ハイパーコンバージド*1とは?
Nutanixの特徴は?
というところをサクッと掴んでいただければと思います。
Nutanix とは?
まず初めに、以下の画像をご覧ください。
https://www.nicpartners.co.jp/report/40193/ より抜粋
これを見れば、Nutanixが対象とするエリアが把握できます。
要は、従来のサーバーとストレージをSANスイッチで接続する構成を1つに統合して提供しています。
Nutanix以外にもHCIは多々あります。例えばDell EMCも有名ですが、
それらの実態は主にx86サーバとローカルストレージを統合した基盤システムです。
ただし、IBM Hyperconverged Systems powered by Nutanixといったx86ではなくPOWERプロセッサを搭載したハイエンドなものもあるようです。
さて、HCIの何が嬉しいのでしょうか。
HCIのメリットとデメリット
メリット
オールインワンかつスケールアウト型なので導入/運用の作業量削減がメリットとして挙げられます。
既にハイパーバイザがインストールされた形で出荷されるので、
オンプレミスで構築する際の導入からサービスインまでのスパンが短くなります。
増強もイーサネットで接続することで対応可能、
もちろんサーバの内蔵ストレージは全サーバからアクセスできる仮想的な共有ストレージとして利用ができます。
また、細かい点ですがサーバとSANスイッチ、SANスイッチとストレージの接続サポートに頭を悩ませる必要がなくなります。
接続性を確認しながら各機器のファームウェアレベルを上げるといった保守作業もなくなります。
デメリット
これは仮想化のデメリットとも言えますが、従来の3層構造よりもパフォーマンスは落ちる場合があります。
SANスイッチが担っていた機能をサーバ側で実現する構造からも、高い性能を出すにはCPUやサーバ内蔵のハードディスクやメモリのスペックはより必要となります。
また、ストレージのみの増強といった際も新たなサーバ筐体が必要になってしまう点もデメリットとして挙げられます。
ちなみにNutanixの場合は、ストレージを重視したモデルは一応あるようです。少しくらいの容量拡張であればディスクを差し替えてより大きなものにすることも可能です。
Nutanixの特徴
Nutanixですが、2Uサイズの筐体の中にサーバとストレージが格納され、それぞれは10Gイーサネットスイッチで接続されている構成で、
以下がネットで公開されていたハイエンド用の仕様です。
CPU | メモリ | HDD | SDD | NIC |
---|---|---|---|---|
10core x 2 (2.4GHz) | 256GB | 1600GB | 12TB | 10G SFP+ |
ここからはNutanixの特徴を3つのキーワードで説明します。
専用のハイパーバイザであるAHV、
専用の構成管理ツールであるPrism、
そして分散ストレージ機能を受け持つControllerVMです。
AHV
AHVとはAcropolis*2 hypervisorの略で、
Nutanixに標準でついているKVMベースのハイパーバイザとなります。
ESXiやHyper-Vを利用することも可能ですが、AHVはNutanix製品に無償でバンドルされています。
WindowsやLinuxなど一通りのOSはサポートされており、仮想マシンからストレージへのアクセスパフォーマンスが強みのようです。
Prism
こちらはNutanixの管理ツールです。システムのリソース状況の確認やハイパーバイザのアップグレードなどに利用します。
ESXiに対するvCenterが近いかもしれません。
ControllerVM
どこの資料を見ても、Nutanixの特長にはストレージ機能が記載されています。
細かい機構はそちらに譲るとして、そのIO要求を司るControllerVMというサーバ機能について説明します。
Nutanixでは、IO要求は全ControllerVMが処理を行います。
https://next.nutanix.com/blog-40/nutanix-enterprise-cloud-flexible-deployment-options-for-iaas-10614 より画像を抜粋
このCVMは各筐体で1台稼働し、その筐体に接続しているSSD/HDDに対してIOの処理を行ってくれます。
アクセス頻度の高いデータを高速なSSDに自動的に配置することで高速なデータ書き込みや読み込みを行う模様です。
冗長性はRAIDではなく、データを複数箇所に書き込むことで保ちます。(もちろん別の筐体のストレージに)
終わりに
Nutanixの基礎的な事項とキーワードとなる用語について説明しました。
HCIは今後も熱い分野なのでウォッチしていきたいと思います。
一方で、物理ディスクに比べてデータが分散してしまうことによる障害からのリカバリー等も気になります。
こういったカタログにはない知見なんかも、調査して情報をアップデートしていけたらと思います。
以上、適宜指摘もお待ちしています。